「ストロボ」の感想

ストロボ
真保裕一

ストロボ (新潮文庫)


あらすじ(文庫本裏原文そのまま)

走った。ひたすらに走りつづけた。いつしか写真家としてのキャリアと名声を手にしていた。情熱あふれた時代が過ぎ去った今、喜多川は記憶のフィルムを、ゆっくり巻き戻す。愛しあった女性カメラマンを失った40代。先輩たちと腕を競っていた30代。病床の少女の撮影で成長を遂げた20代。そして、学生時代と決別したあの日。夢を追いかけた季節が、胸を焦がす思いとともに、甦る。

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真保裕一先生といえば長編ミステリーというイメージがありますが、この作品は5章仕立ての短編。
とはいえ、各章話がつながっているので普通の小説ともとれる作品。


この先思いっきりネタバレ


カメラ・写真などから記憶をさかのぼっていく、時間が逆行して話が進んでいきます。
そのため、5章のお話があるわけですが、5章→4→3→2→1章というページ構成になっています。
はじめはページ順に、2度目は1章から読んでいくといろいろと見えてくるところがあるのではないでしょうか?
はじめは気づきにくいであろう言葉「それで終わっちまうぞ」とかね。

作者のあとがきにも書いてありますが、各章に妻がかかわっています。
どの章も妻、喜美子は話の脇役的存在で、5章の最後に光司が妻に遺影を撮ってもらうシーンがあってちょっと感動的。
しかし4章・3章と読んでいくと「何故」という気持ちが湧き出てしまいました。
妻を愛してるというような分かりやすいエピソードがまったくない。
それどころか浮気のエピソードがあるんですよね。
妻・喜美子は浮気のことは知っていて影で見守っているわけで、元の鞘に落ち着いたと考えれば強引に納得できますが、それだけでは力がないような気がしました。

あと、物語の中心ではないですが、「27歳のときに出した写真集」がひとつのキーワードになっています。
当時の自分と今の自分の写真・情熱を比べるシーンが何度か出てきます。
誰もが「昔はよかった・輝いていた」と考えるときがあると思います。
一般には自分の記憶の中だけで終わるものですが、作品を通して回想できるのは、写真を始め芸術ならではですね。

あと、この作品は各章とも人の見方を書いてます。
主人公喜多川は経験・プライド・背景が邪魔をして一方的な見方をしますが、章の最後で写真を通してその人の行動・言葉の意味が分かるが手遅れとなってしまう。
少し悲しい物語とも考えられます。
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